第25回マンション管理組合実践セミナー開催報告

第25回マンション管理組合実践セミナー開催報告(訂正版)

開催日時:平成16年11月3日(水)13:30〜17:00
開催場所:さいたま市文化センター 3階大集会室
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 主催 : NPO法人 埼管ネット
後援 : 埼玉県住宅金融公庫南関東支店
     マンション問題総合研究所
協賛 : 関西ペイント販売株式会社

 昨年11月3日に行われた第25回マンション管理組合実践セミナーは4つのテーマについて行われました。
以下にセミナーの要約を報告いたします。


開会挨拶  NPO法人 埼管ネット会長 佐々木 一

 本セミナーに参加いただき、また、日頃からご協力いただいていることに感謝申しあげます。実践セミナーは本年2回目の開催です。法改正等により管理組合役員の負荷は益々増加しております。そのような状況を踏まえ、管理組合の皆様の手助けになればとテーマを選びました。
 はじめて参加された方々の理解のために、配布資料の中に当NPO埼管ネットの趣意を記した資料を入れてあります。目を通していただければ幸いです。



テーマ1:マンションの適切な日常管理業務について

         コーディネーター:マンション問題総合研究所 常務理事 久保 泰男 氏

 マンションの管理は、適正なちょうど良い管理が必要です。それは、管理する技術者のレベル、点検の頻度、費用の程度、修繕の程度等がちょうど良いということです。
 ポンプ、浄化槽、消火設備等の点検内容は、居住者からみてわかりづらいものがあります。そうしたものを判りやすくし解説する作業も管理業務の一環であると思います。
その中から今回はマンションライフの交通機関であるエレベーターの意外に知られていない、構造機能やメンテナンスの内容についてメーカーを招き、説明を受けたいと思います。
 エレベーターは定期的な点検が必要であり点検費用は固定費として管理費の大きなウェイトをしめます。
 エレベーターの点検方法は、人が直接行うものから機械主体に変わってきています。点検方式により点検する頻度も変わってきました。また、独立系の保守点検業者も進出しています。加えて、エレベーターの機能が向上しリニューアル方法も様々な提案がなされるようになりました。

パネラー:東芝エレベータ(株)営業本部 フィールド営業部 部長 志波 弘之 氏

1)エレベーターの昇降方式には特殊なものを除き@巻上式(ロープ式) A油圧式 の二種類があります。
@ 巻上式(ロープ式)は現在のマンション全体の80%にのぼります。
A 油圧式は油圧シリンダーによる昇降を行うため、ロープ方式のようなエレベーター上部にロープを巻上げるための機械室が必要ありません。
ただし、昇降高さの限度が15mほどであり、昇降速度は45〜60m/分と制限があります。
B マシンルームレス巻上式は5年ほど前に登場し、巻上式(ロープ式)と油圧式の長所を組み合わせた現在主流になりつつある方式です。

2)日本のエレベーターの品質は現在世界最高水準であるとはいえ、複雑かつ高度な機能を持つ製品を維持していくためには、適切なメンテナンスが必要不可欠です。
エレベーターの保守には、
@ 法定点検を除く無保守
A POG(parts、oil、grease)契約―修理部品代は含まれず
B FM(full maintenance)契約―すべての費用(ドラムの取替え等は含まれない)
の選択が考えられます。

3)保守点検会社の選び方は
@ 設計思想との一致
A 技術力
B 震災時等の緊急対応
C 部品供給体制
を十分精査しコストのみが先行しないよう判断が求められます。
特に先に発生した中越地震復旧などのケースを考えますと、保守点検会社の緊急時のバックアップ体制の重要性があげられます。

4)保守点検方式の変遷
@ 1980年代:リレー制御    点検2回/月
A 1990年代:マイコン制御   点検1回/月+遠隔監視(常時)
B 2000年代:新型マイコン制御 点検1回/3ヶ月+遠隔制御(常時)+遠隔点検(故障分析・状態分析)1回/月が行われています。
 参考までに建築基準法運行管理規定では「おおむね1回/月点検しなさい」とあります。
年代を追う毎にあらたな制御方式が開発されています。現在竣工しているマンションは、Bの新型マイコン制御方式が主流です。

5)リニューアルの方式・効果
 エレベーターの法定耐用年数は17年であることからリニューアルの目安は20年以上経過したエレベーターを対象と考えれば良いのではないでしょうか。
一概にリニューアルといっても
 @ 全撤去を行い全く新規にエレベーターを設置する方法
 A レール・扉の三方枠までを残して撤去し新規エレベーターを設置する方法
 B 制御装置のみの更新
 C 仕上の意匠変更のみを行う方法
など様々なケースがあり、リニューアルの効果は全体のイメージアップ、電気代節減(リレー式より30%減)、待ち時間、運行効率、乗り心地、機械室レス、明るさ(従来は高級感を出すために暗くしていた)等があげられます。




テーマ2:マンションのブロードバンド導入について

講師:ソフトバンクBB(株)光マンション・ビル営業本部分譲営業第1部
                        部長 森川 靖也 氏

1)インターネットの状況
 近年ブロードバンドが急速に普及し、その数は2003年9月時点で1200万人を超える程になりました。その約75%にあたる900万人以上はADSL利用者ですが、光ファイバーサービスの低料金化・高品質・将来性・コンテンツの充実とブロードバンドへの認識の向上により光ファイバーの需要が急激に増え、実際に光ファイバーの加入者数は2003年末には114万人を超え前年同期比で4.3倍と急勾配で増加しています。また、ADSLユーザーの約70%が将来的には光ファイバーに移行したいとの統計も出ています。


2)マンションインターネット導入方式
 このような背景の中、集合住宅においてもこの3〜4年に新築されたマンションでは竣工時から光ファイバーを導入することが主流となっており、既存のマンションにおいても新しく光ファイバーを導入するマンションが急増しています。マンションにおける光ファイバーの導入方式は2種類あります。マンション内部にLANケーブルを配線するイーサネット方式とマンション内部は既存の電話線に信号を乗せるVDSL方式の二つです。イーサネット方式はマンション内にLANケーブルを配線するので既存のマンションで行う場合は既存の配管が通らないケースが多く、同じマンションの中でサービスを利用できる方と利用できない方がでてきます。VDSL方式はマンション内は既存の電話線に信号を乗せるので全戸対応しやすい方式です。2つの方式の特徴を踏まえ、マンション内にお住まいの方が利用できることを前提に考えると新築のマンションではイーサネット方式、既存のマンションではVDSL方式という図式になってきます。

マンションインターネット導入方式
(現在は2種類の方式が主流)

【イーサネット方式】 【VDSL方式】
↓          ↓
新築マンション向け   既存マンション向け

3)光ファイバー導入
 光ファイバーをマンションに導入するためには管理組合として『@光ファイバーの敷設 A通信機器の設置』を決議することが必要となります。設備を導入することに関して、以前は管理組合に費用負担もありましたが、現在においては、回線事業者の競争が激しいこともあり、事業者が負担しているケースがほとんどです。


4)事業者を選ぶ際には
 光ファイバーを提供している事業者は1社ではありません。マンションに設備として残るので事業者を選ぶ必要があります。この業界は移り変わりが早く、検討している時点の値段や速度で選ぶと、その半年後にはその事業者は値段は高く速度は遅いといったことになりかねません。マンション内のスペースにもよりますが数社導入するケースも多くなってきています。居住者が現在利用しているプロバイダに対して光ファイバー提供事業者の対応しているプロバイダや将来性などを踏まえた上で組み合わせを考え、居住者の方が平等にサービスを享受できる環境を整えるという考え方です。


5)光ファイバーを利用したサービス
 光ファイバーといってもインターネットが早いというイメージしかないという方も多いかと思われますので、具体的にはどのようなサービスが利用できるのか一例としてソフトバンクBBの提供する【Yahoo!BB 光 マンション】のサービスを挙げさせて頂きます。
・ 最大100Mbpsの高速通信
・ BBフォン(IP電話市場の約8割のシェア)
・ BBTV(PCの画面で動画を見るのではなくご家庭のテレビで多チャンネル放送や電子レンタルビデオを見ることができるサービス)
上記のように【Yahoo!BB 光 マンション】はインターネットだけではなく、電話やテレビを含めたサービスを展開しています。当然、このほか無線LAN、ホームページ、動画、オンラインゲームなど様々なコンテンツを用意し、様々な角度からお客様のニーズにお答えできるよう準備しております。
 上記のようなサービスを安定して受けることができること、また今後でてくるサービスに対して対応を可能にする将来性が光ファイバーにはあります。この機会に光ファイバーを導入することを検討してみてはいかがでしょうか。




テーマ3:大規模修繕の色彩計画について

              講師:関西ペイント海D研究所 2部 研究員 宮川 里香 氏

 建物に限らずあらゆるものは、色と光の量や見る角度で印象を大きく変えます。建物の印象を色彩的に変えたい時に、デザイナーなど専門家に依頼する場合があると思いますが、管理組合として選択判断を的確に行うためには自ら色についての基本的な知識を持つことも必要です。
また、関西ペイント株式会社では、マンションの大規模修繕工事における建物の色彩を考えた時に、塗料というものは様々な色を表現することができる仕上材であるという利点を有効に活用して、皆様がお住まいであるマンションの資産価値向上のお手伝いをしたいと考えております。

1)記憶色
 人はある色を記憶する場合、実際の色より濃く記憶します。具体的には、あるマンションの外壁色が気に入りそれと同じ色をサンプルから選択しようとした場合、ただ感覚で決めてしまうと仕上がった外壁の色は実際に見て気に入ったはずの色より濃くなってしまいます。
色を選定する際は、むかし美術の時間にならったマンセル記号色を利用し現物の外壁と照らし合わせてみるなど感覚に頼らない方法をとることが必要です。

2)色の面積効果・視認効果
 同じ色でも面積の差で視認効果が大きく違ってくる性質があります。面積が大きくなる程、色は明るく見えます。また、使う色の組合せによっても個々の色の視認性に違いがあらわれます。外壁色を最終決定する際には、注意したいポイントです。

3)マンション外壁色の年代変遷
@ 1960年代:白を基調としたモルタル下地に吹付けタイル仕上げが多く採用されました。
A 1970年代:白を基調とし、仕上げに磁器質タイルが使われはじめました。
B 1980年代:重厚感を演出するためレンガタイル色が多く採用されました。
C 1990年代:ベージュなどのオフカラー色が多く採用されました。
D 2000年代:ツートン、ワンポイントなどアクセントカラーを用いることが多くなっています。
今日見られるアクセントカラーの採用には、色彩選択で見た目が大きく変化するためシミュレーションによる概観イメージを確認することが必要です。

4)マンションの色彩選択
 具体的にマンションの色彩計画を立案するには、現在の建物等がどのような状況にあるか調査してから計画を考えます。事前調査としては既存建物の現状の色、建物の形状、立地条件、周辺環境、管理組合の意向などがあります。この様な調査を元にして色彩選定を進めていきますが、進めるに当たり配慮すべき7つのポイントがあります。


 上記のポイントを押えながら実際には建物の色彩選定を実施していきます。関西ペイント株式会社ではカラーデザインコンセプトを大きく5つに分類して考えており、各々の建物に適したデザインを選考していきます。


 上記のデザインコンセプトに対応した色を選定して、色彩計画を実施し、カラーシュミレーションを作成して、管理組合の方々に最終的に色を決めていただきます。

5)修繕工事に求められる視点は
@ 地域開発などにより建設当時の周辺環境と違う場合があるため、改修時の周辺環境に考慮する。
A 住んでいる人の年齢層を考慮した色彩設計を行う。高齢者が多い場合は慣れ親しんだ色を変えるのに抵抗感がある場合が多い。しかし、若い世代の入居促進を図りたいときには流行のデザインを意識したほうが良い。
 B 修繕だけではなく、改良を意識したデザインを行う。
これから大規模修繕工事を予定されている管理組合の皆様には、上記の3つのポイントを注意して色彩を決めることをお勧めします。また、資産価値の向上を目指し修繕工事による資産価値向上を図ることをおすすめします。




テーマ4:管理組合の資産管理について

          コーディネーター:NPO埼管ネット理事 フィナンシャルプランナー
  奥富 捷三 氏

 2005年4月にはペイオフの完全解禁を迎えます。このテーマでは修繕積立金保全について、管理組合が直面する資産管理問題を考えて行きたいと思います。その保全対策選択に寄与することを期待して住宅金融公庫と野村證券にお話を伺います。


     パネラー:住宅金融公庫 南関東支店まちづくり融資課 副調査役 河田 弥生 氏

 住宅金融公庫では「マンションすまい・る債」という債券を発行しています。マンション管理組合様が積み立てている修繕積立金で公庫の発行する債券を定期的に購入していただくことにより、修繕積立金の計画的な積立てと適切な管理をサポートするものです。
 
1)「マンションすまい・る債」の内容は
@ ペイオフ対象外、住宅金融公庫による債権の保全、購入債権は公庫が無料で保管するため安全に積立ができます。
A 1口50万円から定期的に利息の受取りが可能、途中換金は購入から1年経過で可能(元本、利息保証、解約手数料なし)、利回りは長期国債並みで計画的な積立てをサポートします。
B マンション共用リフォームの融資保証料が1割引きになる特典があります。

2)「マンションすまい・る債」を積立てるための資格要件は
@ 公庫融資を受け、共用部分の修繕工事を行うことを予定している管理組合であること
A 管理規約に以下事項が規定されていること
   ・管理規約の対象となる敷地、建物、付属施設及び共用部分の範囲
   ・区分所有者の管理費用及び特別修繕費(修繕積立金)の納入義務
   ・修繕積立金の使途範囲が計画的修繕に制限されていること
   ・修繕積立金は、管理費と区分して経理されていること
   ・管理組合の業務に敷地、共用部分及び付属施設の修繕変更が規定されていること
   ・費用の徴収方法及び会計予算、決算、借入金及び修繕積立金の取崩しが管理組合の議決事であること
B 長期修繕計画が以下の基準に適合すること
・計画期間が20年以上(ただし計画作成年が平成6年以前のものは計画期間15年以上)
・原則として計画には、外壁、屋根、給水管及び排水管の補修工事の時期及び予定工事額が明記されていること
C 建物の竣工からの経過時期に応じて修繕積立金が公庫で定める一定金額(1戸当たりの平均月額)以上積立てられていること

となっております。申し込み時に上記要件を満たしていなくても、変更する予定であれば「マンションすまい・る債」への応募は可能です。
まずは、ご自分のマンションの長期修繕計画がどの様になっているか確認をしてみては如何でしょうか。長期修繕計画の参考に公庫では「大規模修繕マニュアル」を用意しておりますので、ご一読をお奨めします。



            パネラー:野村證券竃{店 プロダクトマーケティング2部3課
                                課長 籔田 明則 氏

1)金融商品の保護制度
 ペイオフは何故行われるのでしょうか。保護に必要な資金は、セーフティネットに参加する金融機関が納めています。ただし、その分、金融機関の収益は減るので利息や手数料などを通じて、間接的に顧客が負担していることになります。つまり金融機関の顧客はみんなでお金を出し合い、ある金融機関が破綻したとき、破綻の憂き目にあった顧客を助けていることになります。しかし、全額を保護するには非常に多くの資金が必要です。今まで金融機関・顧客が、多くのお金を負担しているほか、国民の負担である公的資金が使われてきました。金融機関とは縁のない人も金融機関の顧客を助けていることになります。これは全額保護をあてにした実現不可能な高利回りや無理な低料金サービスを提示する金融機関、また無理を知りながらそのような金融機関で資金を運用する顧客を生む結果となっています。このような背景からペイオフが行われることになったのではないでしょうか。今後は、自分の選択結果に責任を持つ「自己責任」の時代がやって来るのではないでしょうか。

2)預金と債券(※證券会社では預金商品は取扱っておりません)
「定期性預金」と「債券」はどう違うのでしょか。
 @ 満期時の受取額  :債券---------額面金額(一般的利付債は発行金額と同じ)
             定期性預金---元金
 A 元利金支払の責任 :債券---------発行体
             定期性預金---金融機関
 B 預金保険機構の保護:債券---------対象外
             定期性預金---1,000万円まで保護
 C 利息       :債券---------一定の利息(固定利付債の場合)
             定期性預金---一定の利息
 満期前の途中解約(売却)
 @ 売却/換金:債券---------売却
         定期性預金---解約
 A 換金時  :債券---------時価で売却(投資金額を上回る場合も、下回る場合もあり)
        定期性預金---元金は戻ります
 B 利息   :債券---------当初約束された利率を元に、日割り計算で受け取れます
        定期性預金---適用利率は、当初の利率よりも下がることがあります

3)国債
 @ 国債は国が発行し利子及び元本の支払いを行う債券です。利子は半年に一回、元本は償還時に確実に支払われます。
A 満期にはいろいろなものがあり利付債(半年ごとに利子が支払われ、満期に額面で償還される国債)では2年、5年、10年、15年、20年、30年があります。
 B 国債の金利は発行時の市場の実勢により決定され、償還まで変わりません。
 C 国債は市場で、売買される金融商品なので、満期前でも売却し換金することが可能です。
 
4)管理組合の資産管理
 @ 国債購入にかかわる判断要素
   期待収益にマッチする年限の国債を単純に購入する手法は、管理面が楽ですが、短期の流動性がなくなり緊急事態に対する即応性がないこと。将来金利動向によっては額面償還が左右される可能性があります。
 A 修繕積立金の使用計画にそった投資が可能
   管理組合の修繕計画にそって短期・2・5・10年物を組合せて購入することで、資金の柔軟性に充分対応しながら、最良の利殖を得ることが可能です。
 B 債券等の運用にあたっては、管理組合規約の修正もしくは資金運用規定の新設等を必要とします。細部にあたってはご相談、起案にご協力させて頂きます。



 実践セミナー全工程は4時間近くと長時間に渡るものでしたが、参加された皆さんの真剣な眼差しが印象的でした。また、セミナー終了後同会場にて、各テーマを含めた個別相談を1時間半に渡りお受けしました。
スタッフ一同、今後もより良いセミナーを企画して行きたいと考えております。また、セミナーにご協力頂きましたコーディネーター、パネラー、講師の皆様に感謝致します。


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